Richie Hawtin(リッチー・ホゥティン)とは?
Richie Hawtin(リッチー・ホゥティン)は、イギリス・オックスフォード出身のテクノミュージシャンでDJ。特にミニマルテクノにおけるパイオニア的存在。
彼は子どもの頃に父親の仕事の都合でカナダの都市ウィンザーへ一家で移住。
ここは河川を挟んで、対岸にアメリカ合衆国のデトロイトが位置しており、ここが彼のテクノ・ミュージックと出会うきっかけ、そして音楽活動のターニングプレイスとなります。
テクノ・ミュージックとの出会い
10代後半になると、毎週末のように弟のマシューや親しい仲間とともにお隣のデトロイトへ出かけるようになります。
このときRichieは、デトロイトのラジオ番組の中で初めてミックスという手法に出会います。
父親が機械関連の仕事をしていたため、常に身近な存在であった機械にもともと関心があった彼。
ここからテクノ・ミュージックやDJという分野に強く興味を持ち始めるようになります。
さっそく彼は地元ウィンザーの小さなバーでイベントを始め、DJとしての活動をスタートさせます。
DJ&作曲活動の日々
やがて彼はデトロイトのクラブイベントで、有名DJの前座としてプレイするようになります。
その間も、アメリカの有名テクノ・ミュージシャンが主催するイベントに頻繁に通っていた彼。
このころ自身で作曲することに関心が芽生えていきます。
その後、パートナーとなるJohn Acquaviva(ジョン・アクアヴィヴァ)から音楽活動についての様々なサポートを受け、実家にレコーディングスタジオを構えて本格的に音楽活動を始動します。
その後レコーディング活動を意欲的に続けますが、ミュージックレーベルからのレスポンスを得られなかったため、Johnと共に「+8(Plus8)」というレーベルを自ら立ち上げ、作曲活動を開始します。
彼はその後、様々な名義でもって楽曲をリリースし、世界の音楽シーンを騒がせることになります。
様々な名義で活動
これまで、ソロ名義としてはF.U.S.E.(ヒューズ)やCircuit Breaker(サーキット・ブレイカー)、また共同プロジェクトではJohnとStates Of Mind(ステート・オブ・マインド)として楽曲リリース、さらにDaniel Bell(ダニエル・ベル)を加えて発足したcybersonik(サイバーソニック)など、多くの名義で活動。
そのそれぞれの名義ごとにジャンルの違うテクノ・ミュージックに挑戦していきます。
特に、イギリスのレーベルと契約したPlastikman(プラスチックマン)名義での楽曲リリースがヨーロッパを中心に大きな反響となり、爆発的な人気を呼びました。
他にも、1年間通してひと月に1枚ずつ楽曲をリリースするというユニークなプロジェクト「Concept 1」シリーズを作成するなど、テクノ・ミュージックにおける様々な実験的プロジェクトを行いました。
さらに、1999年にはカナダのウィンザーを拠点に、レーベル「M_nus(マイナス)」を自身で立ち上げ、ミニマルスタイルを中心としたテクノ・ミュージックを発信していきます。
多くのテクノ・ミュージックへの挑戦を続けたRichie。彼のよりミニマルな音への追及は、やがてミニマルテクノの帝王と呼ばれるまでにシーンを発展させていきます。
無類の日本通としても知られる
日本食を好み、お忍びで日本をたびたび訪れているという日本通のRicheiは、無類の日本酒好きとしても知られています。
自身で日本全国の酒蔵に足を運んだり、日本酒造りを学んだりするなど、かなりの愛好家ぶり。
その日本酒好きが高じて、「ENTER SAKE」という日本全国の日本酒と音楽とを一緒に楽しめるイベントを複数回開催しています。
また、同名で実際に日本酒をプロデュースするほど。
その熱心な日本酒の啓蒙活動を称えて、日本酒文化を世界に発信する人物のひとりとして「酒サムライ」にも選ばれています。
また、東日本大震災時には、震災発生の2ヶ月後に復興支援イベントである「Minus Hearts Japan」を東京で開催。
また「KANPA + i」プロジェクトでは、被災した東北の酒蔵の支援のために奔走しました。
Richie Hawtin(リッチー・ホゥティン)のおすすめ曲をYouTube動画で集めてみた
初期の楽曲
F.U.S.E. – Substance Abuse
F.U.S.E.名義のトラック。
タイトルのSubstance Abuse(薬物乱用)とおりの、混沌とした錯乱した精神状態を思わせるトランス感が感じられるテクノナンバー。
この曲は10年以上経った2006年、あらたに「9:20」というタイトルでリエディットされ、イタリア・トリノオリンピックの開会式に使用されるための楽曲として提供されたというエピソードも。
Circuit Breaker — Overkill
Circuit Breaker名義でリリースされたトラック。
アシッドなナンバーで、当時の時代を先取りした前衛的でハードなクールダンスチューンとなっています。
Plastikman名義の作品
Plastikman – Plasticine
大ヒットした1993年のアルバム「Sheet One」のトラックのひとつ。
非常にサイケデリックで、その異様な雰囲気は聴く者に様々なイメージを思い浮かべさせます。
まるで幻覚の中にいるようなトリップ感を感じさせるハード&ダークな一曲。
Plastikman – Spastik
ドラムセットの叩き出すビート音で構成されるというRichieの実験的な作品となる一曲。
音のない作品にも関わらず、刻むビート音だけで高揚感に誘うこの斬新な一曲は、大きなフロアヒットを呼びました。
まさにミニマル・テクノのパイオニアと思わせるトラック。
Plastikman –Consumed
1998年のナンバー。
宇宙のようなどこまでも広がっていく巨大な空間を感じさせるトラック。
聴いているうちに浮かんでいるかのような不思議な感覚を呼ぶ。
Plastikman – Disconnect
2003年リリースのアルバム「closer」の中の1トラック。
Richie自身の声がフィーチャリングされているという作品。
使用する音を最小限に抑えた分、その音ひとつひとつがまるで生き物のようにうごめいているかのような生々しさを感じさせる。
うねりや重厚感のある音の連なりは奥行きのある空間を感じさせ、その中に深く沈み込んでいくかのような作品。
Plastikman – EXhale
2014年にPlastikman名義のニューアルバムとしては10年以上ぶりにリリースとなったアルバム「EX」の中の1トラック。
このアルバムはあの有名ブランドDior(ディオール)のデザイナーの企画によって実現した新作となりました。このアルバムには、ニューヨークのグッゲンハイム美術館でのライブパフォーマンスの音源がそのまま使用されています。
アルバム収録トラックはアルバムタイトル通り、すべてのタイトルに「EX」が付いています。
まるで異次元にいるかのような感覚を呼ぶトラック。
Richie Hawtin名義の作品
Richie Hawtin – Call It What You Want !
Richieの本名名義でリリースされた初の作品。
500枚の限定で販売されたという一曲になっています。
これはPlus 8レーベルのリリース通算50作達成を記念してレコーディングされたというもの。
様々に名義を変えて活動する彼ならではの想いが込められたような「Call It What You Want !(好きなように呼べ)」という題名もユニークです。
めまぐるしく変化するサウンドはとてもポジティブな雰囲気。盛り上がり必至のテクノとなっています。
Richie Hawtin – CONCEPT 1
1996年の1月から12月にかけて、月に一枚ずつ楽曲をリリースするというプロジェクトのもとレコーディングされたうちの一曲で、ミニマルをより追及した実験的な作品となっています。
最小限の音の中で構成された中に、さまざまに異なる風合いの、刻みこまれるビート音が印象的な一枚。
共同プロジェクト作品
States Of Mind-Elements of Tone
Plus8レーベル初期の、John Acquaviva(ジョン・アクアヴィヴァ)との共同プロジェクトにおける作品「Elements of Tone」の中のトラック。
cybersonik – technarchy
John Acquaviva(ジョン・アクアヴィヴァ)とDaniel Bell(ダニエル・ベル)との共同プロジェクト「cybersonik」から生まれた、レーベル初期のハードな作品。
ヨーロッパ中に大きな反響を呼んだトラック。ダークな雰囲気満載のクールなトラックです。

コメント